育毛シャンプーが効かなかったあと、僕はネットで調べ始めた。

「薄毛 治療」と検索したら、やたらと「AGA」という言葉が出てきた。

AGA——Androgenetic Alopecia。日本語にすると「男性型脱毛症」だ。

恥ずかしながら、それまで僕はAGAをちゃんと理解していなかった。薄毛と同じものだと思っていた。でも全然違う。

AGAは、男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン(DHT)」が毛根を攻撃して、毛髪サイクルを乱すことで起こる。つまり、ホルモンが原因の医学的な症状だ。シャンプーや生活習慣で解決できるものではない。

「あ、だからシャンプーが効かなかったわけか」と、3ヶ月無駄にした理由がやっとわかった瞬間だった。

AGAの治療薬として代表的なのは、フィナステリドとミノキシジルだ。フィナステリドはDHTの生成を抑える飲み薬で、ミノキシジルは血流を促進して発毛を促す。どちらも医薬品だから、クリニックでの処方が必要になる。

ここで初めて「クリニックに行く」という選択肢が僕の頭に浮かんだ。

正直、最初は気が引けた。薄毛でクリニックに行くって、なんか大げさじゃないか、と思ったから。でも調べれば調べるほど、AGAは「病院で治療するもの」だとわかってきた。

歯が痛けば歯医者に行く。目が悪くなれば眼科に行く。頭髪が抜けるならAGAクリニックに行く。それだけのことだ、と気持ちを整理した。

次の話に続く。僕がクリニックの予約ボタンを押すまでの、もう少しだけ迷った話を書く。