「自毛植毛を調べる」と決めて、僕はまず、基本から手をつけた。
仕組みは、思っていたよりずっとシンプルだった。後頭部や側頭部の、薄くなりにくい自分の毛を採取して、薄くなった部分に移植する。それだけだ。
なぜ後頭部の毛なのか。AGAの影響を受けにくい性質を持っているからで、移植したあとも、その性質を保ったまま生え続ける——というのが、自毛植毛の理屈らしい。
方法は大きく2つあった。メスで頭皮を帯状に切り取って移植する「FUT法」と、専用の器具で毛包を1つずつくり抜く「FUE法」。最近は、傷が小さく回復が早いFUE法が主流になってきているようだった。
ここで、ひとつ大事なことを知った。
自毛植毛は、魔法じゃない、ということだ。
移植した毛は生え続ける。でも、もともと残っている自分の毛は、加齢やAGAの進行で、また薄くなる可能性がある。つまり「一回やれば、もう一生何もしなくていい」とは限らない。
正直、その「正直さ」に、かえって信頼が持てた。「絶対に生える」「二度と悩まない」みたいな甘い言葉より、よっぽど誠実に思えた。
怖がりの僕は、メリットだけ並べた話を信用しない。リスクもちゃんと書いてある情報のほうが、安心できる。
仕組みが分かると、次に気になるのは、当然——「で、痛くないの? 失敗しないの?」だ。
怖がりの本領発揮である。次の話に続く。