手術、という言葉だけで、僕は足がすくむ。

注射ですら身構えるのに、頭を切ったり、くり抜いたりするなんて。想像しただけで、椅子の上で姿勢を正してしまった。

でも、僕のやり方は決まっている。怖いものは、目をそらさず、先に全部調べる。知らないから怖い、というのは、もう何度も経験した。

まず「自毛植毛 後悔」で調べた。出てきたのは、こんな声だった。生え際のデザインが不自然になった。思ったより薄いままだった。定着しなかった。費用が高すぎて後悔した——。

次に「失敗」。多くは、医師やクリニックの技術差に関係しているようだった。同じ自毛植毛でも、誰がやるかで仕上がりが変わる。だから、クリニック選びが何より大事、という結論にたどり着いた。

痛みについても調べた。手術中は局所麻酔が効くので、痛みは抑えられる。ただ、麻酔の注射そのものは痛い、という声が多かった。術後も、数日は腫れや違和感が出ることがあるらしい。

ダウンタイムは、思ったより現実的な問題だった。術後しばらくは、傷の赤みやかさぶた、腫れが出る。仕事を何日か休む人もいる。

——正直、調べれば調べるほど、怖さは増した。

でも同時に、怖さの「正体」が見えてきた。漠然と怖かったものが、「麻酔の注射が痛い」「術後数日は腫れる」「クリニック選びを間違えると失敗する」という、具体的なリスクの集まりに変わった。

具体的になれば、対策できる。クリニックを慎重に選ぶ。休みを確保する。麻酔の痛みは、覚悟しておく。

怖いままでは動けない。でも、怖さを分解すれば、動ける。これは、薄毛で悩み始めてからずっと、僕が学んできたことだった。